すべてのイベントという嵐が終えた今、考えれてみればあれらの出来事や状況はすべて布石だったのではないかと思う。
 前日酔っている上寝たのは12の時刻を過ぎてからというのに、2日目の朝早くに全員起きていた事。
 あれほど前日に振っていた雨と空を覆い尽くしていた雲は嘘のように晴れていた。日本晴れであった事。
 なんの障害もなく、河相さんや我徒さん、さらには当日集合のしゃもじさんまで会えた事。
 こんなにスムーズに事が進んだのは、当初喜ばしく感じたものだ。
 しかし、もう一度言おう。すべてのイベントという嵐が終えた今、これらの滑らかな進行はこれから起こる出来事への布石だったのだろう。今ならそう思う。
 嵐の前の静けさ――この言葉はまさにこの為にあるかの様だった、とここに記しておく。
 
 
 という事で、楽しい一日目も過ぎ私達は最終日であるオフ2日目を迎えた。
 冒頭に書いてある通り奏來こと私、Anaさん、零人さん、Ryoさんは朝も早く起床したのである。
 前日に目覚ましとして携帯にタイマーを設置していたのは無駄となったわけである。こういう方向性での無駄なら歓迎なのですが。
 少しした後、朝の清々しい空気を堪能しながら近くのコンビニで朝食を購入し、ゆっくりとした朝食の後名古屋駅へと足を運んだ。
 冒頭のように、何の弊害もなく全員集合。スムーズに進む計画にこの時はほっと安心したものです。この時は。
 しゃもじさんに巫女茶屋があることを報告。とりあえず何があっても癒せるということで後回しに。
 この時点で、これからの目的地のアレさが分かると思われる。
 これから向かう目的地は、名古屋でもコアな人々に大人気のお店。
 その名も『マウンテン』。
 この名を聞いただけで、不整脈・発狂・失神などの処々症状を引き起こす人が多いそうです。(嘘
 しかし、それほどまでのインパクトを持つ店がマウンテンなのである。
 分からない方は、Googleで「マウンテン 名古屋」なんて検索すると知らなくてもいい全貌が明らかになります。
 そんなお店を、オフのメインにした私達。
 侮りすぎてた、といえばいいのだろうか。記憶に確かに残るのならば、ある意味で成功というべきなのか。
 とりあえずはこの7人の行く末を伝えよう。それがこの物語の大切な記憶なのだから。
 忘れたくなるけどな。
 
 地下鉄を使い、最寄であるいりなか駅に到着。少し歩くという事。
 新しく参加したしゃもじさんやらと明るい談話をしつつ、その名の通りまさに山を登っていったのです。
 そして、着いた店。マウンテン。
 外観は古い洋館の様。周りにある植物やらが、普通ならば何か立ち寄り難い雰囲気をかもし出している。
 しかし、駐車場に車が異様に停めてある。10台前後あるし。
 とりあえず記念写真を取り、店内に入ると、満席。
 さすがその筋には超有名な店。目の前を通り過ぎる山盛りでピンク色な麺は伊達じゃないですな。
 とりあえず予約を取って待機。程なくして席が開いたが、7人では無理な4人席が空いたとの事。
 先行隊と後続隊を決めることに。
 話し合いの結果、先行隊はAnaさん、河相さん、しゃもじさん、我徒さんに。後続隊は残った私、零人さん、Ryoさんに。
 先発隊が入店席は置くの方に。そして私達は外で待機することに。
 待機して数分後、明らかな方達が入店。もちろん満席だと言われ、店内で待機。
 なぜ私達が外で待機したかというと、店の中は狭い上出入り口な為に他の客に邪魔になるからである。
 決して目の前を恐ろしいモノ達が通り過ぎるのを嫌がったわけではない。断じて否である。
 そうこうして待っている内に、店から客が吐き出された。どうやら私達の番のようだ。
 店内で待っている客が、何か勘違いしたか空いた席に座ろうとしていた。店員にあっさり止められたが。
 そうして、先発隊とは離れた場所にて着席。机や椅子も古めかしい作りである。
 となりで黙々と食されているいちごスパを横目に見つつ、メニューに目を通す。
 おぉ。本当にあるよ。抹茶いちごバナナに……
 どうやら一人一品目頼まなければならない様なので、先発隊のメニューとかぶらせないように偵察。
 調査の結果、先発隊のメニューは
 ・イチゴスパ
 ・小宇宙スパ(正式にはコスモスパ)
 ・ストロングコーヒー
 ・ゴーヤとウコンのジュース
 ……ヌルい! この店に着たからには全部食べ物でなければ! 飲み物は水のみ!
 という後続隊の決断により、こちらのメニューは以下のとおりに。
 ・バナナスパ
 ・オリエンタル(これもスパゲッティー)
 ・納豆と味噌のチャーハン
 さて、料理を待っている間に先行隊の近くの席が空いた模様。店員の配慮によりそちらへ移動した。なかなか親切な店である。
 私たちが行った時は、既に先行隊による登頂が行われていた。
 イチゴスパはまさにそのまま。山のように盛られたピンク色のパスタの上に、たっぷりの生クリームとちりばめられたイチゴ、キウイ。その頂上にはかわいらしくサクランボが。
 小宇宙スパ。見た感じは深い土鍋に入った野菜をふんだんに使ったパスタ。なにか鍋焼きうどんのように見える。この場合は鍋焼きパスタと言うべきか。この中にどのような小宇宙があるのか。
 ストロングコーヒーは普通。はっきり言って私はインスタントで十分満足できるクチなので、これといって記載することはない。(というか出来ない)
 最後にゴーヤとウコンのジュース。見た目は水で薄めた青汁である。この表現だけだとアレだが、意外と甘めで飲み安い飲み物であった。しかし、イチゴパスタの前にこれが有用であるかどうかは定かではない。同じ甘い物だし(片方は怪しいが)。
 それらに立ち向かっていく彼らを見ていると、私たち後続隊にも頼んだ料理がきた。
 最初にして最高峰の山であるバナナスパ。麺は普通のパスタよりも黄色が強い。その山になったパスタのうえに、イチゴスパと同様大量の生クリーム。さらに5センチほどに切られたバナナが数個あり、チロルチョコのような大きさのチョコがいくつもある。この山の頂上にも、イチゴ同様に可愛らしいサクランボが。
 名前からかもし出される不思議さっぷりに頼んだ山、オリエンタル。『東洋風の』という類の意味を持つこのスパゲッティ。見た目はごく普通の料理である。山盛りなところ以外は特に一般の店においてありそうな感じである。というより、このスパの具にはソーセージやらマッシュルームが使われているのだが……どこがどのように”オリエンタル”なのか謎である。味付けか? 東洋風の味付けってどういうのだ?
 最後に、パスタだけではと頼んだ納豆と味噌のチャーハン。見た感じは茶色い米でつくったチャーハンである。この色は味噌であろう。米にまぎれて納豆らしき豆が見える。それよりも匂いが納豆である。味噌の匂いがしない。
 それでは後続隊、登頂。
 
 
 ここから店内における記述は、あいまいかつおぼろげな記憶から推測された状況を第三者的に綴った物である。
 さらにこの事実を綴ることが出来るまで、有に2週間の歳月を要した事を記しておく。
 
 
 
 開始数分後。
 奏來と零人はすでに永遠の世界に旅立っていた。

「もう、私笑えないよ……」
「春がきて、ずっと春だったらいいのに……」

 零人を襲ったモノは、単純で明快である。バナナスパ。それに彼のすべては打ち砕かれていた。
 彼は過去にこの店に来た事があり、かつこの品も食した事があったらしい。
 が、物事は無常。常に同じものなどない。
 バナナスパは常に同じ処などに留まっておらず……新たなる世界へとその味を広げていたようである。
 それでは奏來もその聳え立つ山に阻まれ、その歩みを止めたのか?
 否、それだけではなかった。彼の進行を阻んだ物は、意外にもチャーハンにあった。
 彼の席の前には、バナナスパとチャーハンが鎮座している。
 そうするとどういう現象が起こりうるのだろうか。彼がその一歩を踏み出したと同時に倒れたようなその現象。
 それは――匂いであった。
 真正面からくるバナナの甘ったるい匂いと、チャーハンから来る味噌の香ばしい匂いと納豆の独特の香り。
 それぞれ単体であれば、なんでもないのだが……この3つが奏でる香りのハーモニーは、すでにこの3次元世界にありえないモノであった。さらに、あまりにも油っこい料理が、その食欲の減衰に拍車をかけた。
 それらの犠牲の上に、平然とその山らを上る青年が一人。
 Ryo-T。(敬称略)
「予想よりも美味しいね、これ」
 と、他の2人からすれば人外としか思えない台詞を吐きながら彼の胃に異なる物が収納されていく。
 さらに先行隊の面々が到来。しゃもじさんと我徒さん、河相さんは興味本心でこっちの料理も食べ撃沈。
 しかしAnagramさんが参加により戦況が一変する。Ryoさん同様に恐ろしい勢いで目の前の食物を消化していく。先発隊で一回登頂したにも関わらず、である。
 その様を見ながら、奏來と零人は光の失った眼から羨望と絶望眼差しを発していたという。
 
 
 そうして、何とか完食を達成し店を去った。
 だが、この山から受けた傷痕は思ったよりも酷いものであった。

 巫女茶屋に寄り休養した後、同人ショップめぐりをしていたのだが、どうにも疲労を隠せない面々。 
 私はコンビニのおにぎりをそれは美味しそうに食べたり(この日のことを全員に聞いたら全員同じ答えを返すであろうぐらいに)。
 Anagramさんはこの後寄った巫女茶屋で毒舌になったり。
 Ryoさんと零人さんはやおいな同人誌を買ったり。
 しゃもじさんと河相さん、我徒さんはそれほど突飛な行動には出てなかったが、その顔には明らかに疲労が浮かんでいた。
 山が我々に与えたダメージは思いのほか強大であった。
 そんなこんなで地下鉄を利用し名古屋駅に戻った後、しばらく雑談に花を咲かせ解散となった。

 とりあえず今回のイベントは成功だと思われる。
 最初はある程度のミスやらがあったが、初日は成功を収めたといっても過言ではないだろう。
 2日目は……教訓として受け取っておこう。
 初めてのオフにおいて自爆的行為は厳禁であると。
 見てる方からすれば楽しいんだけどさ。

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